JBPA技術情報

bioPBS ― ポリブチレンサクシネート/ポリブチレンサクシネートアジペート

三菱ケミカル株式会社
小坂 尚之

1. BioPBS™の特徴

PBS(ポリブチレンサクシネート)は、自然界の土中の微生物の力で水と二酸化炭素に自然に分解される生分解性樹脂である。PBSは一般的な生分解性樹脂の中では高い耐熱性と良好な機械物性を有し、フィルム、シート、繊維などの材料に成形可能であり、他の生分解性樹脂との相溶性も高いという特徴を有している。

三菱ケミカル(株)は、2003年から“GS Pla™” の商標名でPBSの商業化に成功し市場開発を開始した。“GS Pla™”は石油資源を原料とするコハク酸及び1,4-ブタンジオールを主原料とするPBSで完全に生分解される。

2017年からは三菱ケミカル(株)とタイのPTT Global Chemical Public Company Limited で設立した合弁会社PTT MCC Biochem社で植物由来のコハク酸と1,4ブタンジオールからなるバイオPBS(商標:BioPBS™)の商業生産を行っている。

表1にPTT MCC Biochem Company Limitedで生産しているPBS系樹脂であるBioPBS™の主要物性値を示す。比較のためにポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン(PS)を示す。現在、BioPBS™には、用途に応じてFZシリーズ(ポリブチレンサクシネート:PBS)とFDシリーズ(ポリブチレンサクシネートアジペート: PBSA)の2つの基本グレードがある。FZシリーズは融点等ポリエチレンと類似の特性を持つが、透明性は劣る。これはFZシリーズPBSの結晶性と密接に関係しているが、アジピン酸を共重合して結晶性を制御することにより透明性と柔軟性を改良したタイプがFDシリーズである。PBSとPBSAはLLDPE に近い耐熱性、機械物性を持つ生分解性樹脂であり、ポリエチレンの置き換えに適している。

表1.BioPBS™の主要物性値
PBS PBSA LLDPE PP PLA PS
Density g/cm3 1.26 1.24 0.92 0.90 1.26 1.05
Glass transition temperature -22 -36 < -70 -10 59 100
Melting point 115 84 108 165 179 -
Tensile strength MPa 36 24 18 30 55 40
Tensile elongation at break % 210 380 700 700 2 2
Flexural modulus MPa 650 250 150 1300 3500 3150
Notched Izod impact strength(23℃) kJ/m2 10 47 50 3 3 2
Heat deflection temperature(0.45MPa) 95 63 45 115 59 100

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