JBPA技術情報

生分解性プラスチックとしてのポリビニルアルコールについて

株式会社クラレ
香春 多江子

1. はじめに

プラスチックなどの合成高分子材料は年間数億トンの規模で生産され、毎年少なくとも800万トンが河川などの水生環境中に排出されている(ダボス会議、2016.1)Ref1,2。一般的に物性に優れるプラスチックは長期間安定に存在する傾向にあり、一旦環境中に暴露されてしまうと直接的な毒性によって水生生物のライフサイクルを阻害するなど、しばしば生態系に深刻な変化をもたらす可能性がある。生分解性プラスチックは通常のプラスチックと同じよう使用することが可能だが、環境下へ流出した後は自然に分解される特徴をもったプラスチックであり、廃棄物による環境負荷低減のための期待の材料として注目を集めている。

2. ポリビニルアルコールについて

ポリビニルアルコール(以下、PVOH)は代表的な水溶性合成高分子である。生分解性プラスチックとしても知られており、国内メーカーの製品群はJBPAの生分解性プラポジティブリスト(分類番号A-1: 生分解性合成高分子化合物)にも収載されている。PVOHは1924年にドイツで発明され、日本において工業的に発展してきた。一般に、原料である酢酸ビニルからポリ酢酸ビニルを重合し、得られたポリ酢酸ビニルをけん化(加水分解)することにより合成される(図1)。酢酸ビニル由来のアセテート基が全てアルコール基に変換されると「完全けん化PVOH」が得られる。一方、アセテート基を一部残存させることで「部分けん化PVOH」が得られる。PVOHの物性は、アセテート基がアルコール基に変換された割合を示す「けん化度(加水分解度, DH)」、および分子中のモノマー単位数を示す「重合度」によって、大きく影響される。

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