PGA ― ポリグリコール酸
1. はじめに
ポリグリコール酸(PGA)は、最も単純な分子構造を有する脂肪族ポリエステルであり、生分解性樹脂として広く使用されている。PGAは古くから知られ、1930年代にナイロンの発明者であるW. H. Carothersにより初めて合成された1) 。当時のPGAは分子量が低く、他の合成樹脂と比べて熱や水に不安定だったため、実用化には至らなかったが、1950年代に高分子量化の技術が確立されたことにより2-3) 、1960年代には医療用の生体吸収性縫合糸が開発され、PGAは小規模ながら商業利用されるようになった4)。
当社では、生分解性樹脂の研究開発を進める中で、PGAが高いガスバリア性や強度を有することを見出した。そこで、従来にはない高機能型の生分解性樹脂として、新しい用途を開拓できると考え、PGAの量産化を目指した技術開発に着手し、世界で初めて工業的な製造方法を確立した5)。2011年より米国ウエストバージニア州においてPGA樹脂「Kuredux®」を商業生産している。