JBPA技術情報

PA10T ― ポリアミド10T

ユニチカ株式会社
高橋 卓己

1. はじめに

バイオマスプラスチック(以下、バイオマスプラ)は、石油などの枯渇資源に依存しないため、化石資源の保護及び資源循環性の向上に寄与できること、また、「カーボンニュートラル」の観点で地球温暖化の一因である温室効果ガス(GHG)発生の削減によりサステナビリティ目標の達成に貢献できるため、近年様々な応用開発が進んでいる。バイオマスプラは、原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学プロセス又は生物プロセスで合成することにより得られる高分子材料である。バイオマスプラの代表的なものとしてトウモロコシなどのでんぷんを原料とするポリ乳酸(PLA)や、トウゴマの種子から得られるひまし油を原料としたポリアミド(PA)がある。ひまし油由来のPAにはPA11、PA1010やPA610があり、従来から多く使われている石油由来のPA6と同様の耐熱性を示すものの(1)、スーパーエンジニアリングプラスチック(耐熱温度150℃以上のプラスチック、以下、スーパーエンプラ)の要求性能を満たすことはできていなかった。

自動車分野におけるEV化の加速や、電気電子分野における、部品の小型化・高密度実装化、鉛フリーハンダ化が進み、プラスチックにはさらなる高耐熱性、高信頼性が必要とされ、スーパーエンプラの利用拡大が進んでいる。スーパーエンプラの世界市場規模は2021年実績49万トン、2027年見込65万トンと着実に拡大しているが、従来から上市されている耐熱ポリアミドであるPA46,PA6T,PA9T,またPEEK,PPS,LCPなどの多くのスーパーエンプラはすべて石油由来樹脂である。

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